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Vol.52 WISDOM in Depth
コーパスで検証する (2)

~ ビッグローブより ~
『ウィズダム英和辞典』の編者・編集委員の先生方が書かれたコラムをお届けします。

コーパスで検証する (2)

■-語法注記: if A should [were to] do, . . . -

語法注記はコーパスを活用した研究成果を最も発揮しやすいところである。
『ウィズダム英和辞典』では,そのようなコーパスを活用した研究成果ならではの情報には[コーパス]というレーベルをつけて表示している。
ここには,従来からある説明をコーパスでより詳細に検証したものから,コーパスで検証中に遭遇した新たな発見に至るまで,いろいろなものが扱われている。
今回は後者の例を紹介しよう。

if A should do . . . と if A were to do . . . は高校英語では必須の文法項目であるが,両者は「万一…すれば」のようにほぼ同じ意味で用いると説明されたり,上級者向けのやや詳しい解説では,were to の方が should より実現可能性が低い場合に用いられるといった説明が見られる。
このことを検証しようと,if 節の中に were to が現れる用例と should が現れる用例を観察していると,興味深い現象に気づく。
were to を含む if 節の帰結節では,would,might,could などの仮定法過去形が一般的であるのに対して,should を含む if 節の帰結節では,would,should,might をはじめ,be going to,will,命令文,法助動詞を含まない形などが現れることも少なくない。
仮定法過去を使うより,当然これらの表現を使う方が確信度は高まる。

・If something should happen, just call this number.
・If something should happen to us, the Navy will at least have partial records of what happened.
・If anything should happen, I’m going to be fine and everything’s going to be all right.
・If anybody should be doing this, it’s you.

『ウィズダム英和辞典』(第2版)(s.v. if (接) 5a (類義)(3))では,こういった事情を配慮した説明となっている。



著者プロフィール


井上 永幸 (いのうえ・ながゆき)
徳島大学総合科学部教授。
専門は英語学(現代英語の文法と語法),コーパス言語学,辞書学。
編纂に携わった辞書は『ジーニアス英和辞典初版』(大修館書店),『英語基本形容詞・副詞辞典』(研究社出版),『ニューセンチュリー和英辞典2版』(三省堂),『ジーニアス英和大辞典』(大修館書店)など多数。



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